伊藤新人王投了! 98手まで藤井竜王の勝ちで、号泣した悔しさ、晴らす・・・、という対局でもないですかね
伊藤新人王の勢い、藤井竜王に通じず、ですか
12月13日。東京・将棋会館において新人王戦記念対局・伊藤匠新人王(四段、19歳)-藤井聡太竜王(19歳)戦がおこなわれました。
結果や対局の模様は1月1日に公開されます。
かたや大器と目される現役最年少の新人王。かたや同学年にして、史上最年少四冠。非公式戦ながら、将棋界の今後をうらなう注目の一番と言っても過言ではなさそうです。
記念対局の相手は新人王の指名ではなく、そのときのタイトル保持者のスケジュールなどによって決まります。そうした事情の上で、なんとも粋な組み合わせとなりました。
伊藤新人王と藤井竜王はまだ公式戦での対戦はありませんが、ほどなく、どこか大きな舞台で対戦する可能性もあるのかもしれません。
新人王戦の記念対局ではあらかじめ、新人王側が先手と決まっています。そのアドバンテージが存在する上で、2006年以降の結果は冒頭の表の通り、新人王側の6勝9敗です。
2018年には藤井新人王が豊島将之二冠に勝っています(肩書はいずれも当時)。両者はその後、大きな舞台で何度も戦うようになったのは周知の通りです。
1970年から2005年記念対局は公式戦扱いで、そのときには名人が対局相手でした。結果は新人王側の12勝24敗です。
若い新人王と若い名人の対戦では、過去には次のような例があります。
1994年 丸山忠久五段(24歳)-羽生善治名人(24歳)
1983年 中村 修六段(21歳)-谷川浩司名人(21歳)
1972年 石田和雄六段(25歳)-中原 誠名人(25歳)
以上のカードと比べても伊藤匠新人王(19歳)-藤井聡太竜王(19歳)の組み合わせは若い。十代同士の新人王戦記念対局は空前にして、あるいは絶後となるのかもしれません。
松本博文将棋ライター
フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『あなたに指さる将棋の言葉』(セブン&アイ出版)など。