自国通貨建てで国債を発行できる国は、非常に少ないそうです。日本や米国、スイスくらいでしょうか。

自国通貨建てで国債を発行できる国は、非常に少ないそうです。日本や米国、スイスくらいでしょうか。これらの国はなぜ自国通貨建てで国債を発行できるのですか?これら以外の国はなぜ自国通貨建てで発行できないのですか?

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根本的な理由は、国民の生産力の違いです。

そもそも借金は経済にお金を循環させるために存在しています。
経済にお金が存在しない状況から考えたらわかりますが、中央銀行が発行したお金を配るような事は有り得ないので、国民は使いたいなら借金するしかありません。
銀行を通じて国民が借金した時に経済へお金が循環し、経済で循環するお金を回収(返済)すると消滅するので、経済全体で見れば必ず金融資産と負債は一致します。
そうでなければ、発行したお金を誰かが勝手に使っている事になるでしょう。
実際にお金を作っているのは主に民間銀行で、その機能を信用創造と言いますが、基本的に負債と金融資産の増減は同じです。(詳細は以下URL)
http://goo.gl/QyRxfS

この制度は国民に労働をサボらないためにあります。
単純な話しとして、お金を配ると少なからず労働意欲を無くす国民が出てきてしまいます。
しかし労働が存在しないなら、スーパーにも商品が並ばない(店員不在)ので、お金を持っていても無意味です。
このようにしてお金だけが増えるとハイパーインフレ(貨幣価値減少)が発生するため、お金を発行する時には借金させています。
経済で最初にお金を使う人に借金させれば、返済という労働理由を与えられますし、借金しない人も生活費を稼ぐために労働するので、基本的に労働をサボれません。
つまり「お金=借金=生産の約束=信用」が成立し、借金(お金)は国民の生産力が支えている事がわかります。

ここで問題なのは、「外国の生産を購入するには、外貨が必要」という点です。
日本では石油を中心とした資源を生産できないため、外国から購入しなければならないのですが、このためにはドルが必要となります。
日本円で借金した場合、ドルを得るためには「円売りドル買い」をする必要があるので、一方的にこれを続けると為替が暴落し、最終的に取引を中止されるでしょう。
しかし日本の場合は生産力が高く、「外国人が日本の生産(自動車等)を購入するために円を欲しがる」ため、「日本人が外国の生産(資源等)を購入するためにドルを欲しがる」という需要を相殺し、為替が維持されます。
このバランスが保てない国は、為替相場が下落していくので「外貨を借りて、自国通貨を購入する」という調整をしなければいけません。

例えば、日本では政府が「円売りドル買い介入」で円安誘導する事がありますが、これは「銀行から日本円を借り、ドルを購入」という流れで行われます。
その結果として日本は莫大な外貨準備があり、ここで調達したドルで米国債を購入しているため、世界でもトップクラスの米国債保有量を実現しました。

しかし日本の生産力が低ければ、必然的に為替相場が下落していくため、場合によっては「ドル売り円買い介入」をする必要があります。
「銀行からドルを借り、円を購入」という上記の逆が行われるという事で、この状況では外貨建て国債を発行せざるを得ません。
そして借りたドルを返済するには、生産力を高めて為替を上昇させ、「円売りドル買い介入」を行う事で返済する必要があるので、生産力を高められない国は途中で限界が来る事になります。(日本経済でしか使えない円の借金なら、最終的に課税で回収可能)
これが破綻する国家です。
通貨というのは取引道具に過ぎないので、その本質は「国民の生産物を購入する」という部分にあります。
「日本円で借金しているなら、それは日本国民の生産を購入するためのもので、日本国民が十分な生産をしている限り問題ない」と言えますし、逆に「外貨で借金するなら、それは外国の生産を購入するためのもので、これは日本国民の生産力が不足している事(国民が望む消費量を、国民の生産量で賄えない)を意味するため危険」という事になるでしょう。

ただこれは不況と表裏一体です。
国民が生産しているのに、それを消費する人が少なければ失業者が増加していきます。
一方で国内の生産が追いつかないほど消費旺盛なら好況感が生まれるため、日本のように消費不足とは言われません。
日本は生産しているのに消費しない節約国家(不況)である、という点も大きいです。
高い生産力(輸出力)で円高を維持し、20年間も消費不足の不況を続けているため、日本では「外貨を借りなければいけない状況」を想像し難いですが、普通の国並に消費を拡大すれば、状況次第で外貨建て国債を発行する可能性はあります


一方で米国の場合は基軸通貨である点が重要です。
日本は外国から石油を購入する時にドル(外貨)を必要としますが、米国はドルが自国通貨ですから、そもそも殆どの状況で外貨を必要としません。
世界中の生産を自国通貨のドルで購入できる以上、絶対的な権力があります。
この地位は「世界戦争が起こっても、最終的に生き残れる軍事力」で支えられていて、ちょっとした戦争で崩壊するよう国の通貨は基軸通貨になれないでしょう。