小池知事の怠慢が招いた医療崩壊…東京コロナ感染者が「入院疎開」を迫られる日

 まるで“戦時中”だ――。17日の都内の新規感染者数は火曜日としては過去最多の4377人だった。都内では入院できない患者があふれ、医療は完全に崩壊している。とうとう東京から脱出して地方で入院するケースが発覚した。小池都知事が病床不足を解消しない限り、適切な医療を都外へ求める「入院疎開」が続出する可能性がある。

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「入院疎開」がSNS上で話題だ。都内在住の30代男性が新型コロナウイルスの陽性判明後、長野県に移動し、同県内の病院に入院したことがキッカケで急浮上した。

 県によると、男性は7日に発症。都内で検査し、11日に陽性が判明した。その後、公共交通機関を使わずに長野県内へ移動し、体調が悪化したため13日に入院。県内では他人と接触していないという。

 なぜ長野に移動したのか、どのような手段で移動したのか、県に詳細を問い合わせると、担当者は「申し上げられない」(感染症対策課)とのことだったが、「陽性判明後に来県して入院するケースは記憶している限り、もう1件あった」(同)という。「陽性判明後は管轄の保健所管内で療養に専念していただきたい。(男性のようなケースが増えるのは)あまり好ましくない」(同)と困惑気味に語った。

 以前から、医療体制の整っている地方へ脱出する人が出てくるのではないか、と指摘されていたが、現実になった形だ。

都の病床数は第4波から373床しか増えず

 このまま、感染状況の悪化や医療体制の崩壊が続けば、万が一に備えて他県へ脱出を試みる都民が続出する可能性がある。なにしろ、都の医療提供体制は、専門家が「深刻な機能不全に陥っている」(都医師会副会長の猪口正孝氏)と、強い危機感をあらわにするほどの惨状だ。

 見るに見かねたのか、島根県の丸山達也知事は「自宅療養を病床のように使ってという都の現状は、医療崩壊と理解するのが自然」と主張し、都の医療崩壊から同県出身者や県民の近親者を守る取り組みを打ち出している。

 島根は1都3県から、基礎疾患を抱える同県出身者や県民の親族(1親等または2親等)の帰省を支援。陽性者や濃厚接触者、発熱などの症状のある人を除き、宿泊料の半額を助成している。申請期間は今月31日までだが、県によると「今のところ1件の申し込みがあり、(緊急事態宣言が期限を迎える)来月12日まで申請期間を延長するかは検討中」(暮らし推進課)という。

 他県がここまで踏み込んだ措置を取らなければならないのも、すべて小池知事の不手際が原因だ。

 都内では自宅療養者と入院等調整中の患者をひっくるめ、入院できない患者は3万3341人(17日時点)に上る。肝心の病床数は第4波の真っただ中だった5月初旬の5594床(うち重症病床数373床)から、5967床(同392床)へと、373床しか増えていない。病床を確保する時間はあったはずなのに、何もかも後手後手だ。

 小池知事の怠慢が招いた医療体制の逼迫。「入院疎開」を迫られる日はそう遠くない。