「今度はやめん」も東国原氏及ばず 宮崎知事選、現職が4選

25日投開票の宮崎県知事選は、現職の河野俊嗣(しゅんじ)氏(58)が、前職で元衆院議員の東国原(ひがしこくばる)英夫氏(65)ら2人を破り、4選を確実にした。東国原氏は初当選した2007年と同様に草の根選挙で返り咲きを目指したが、旋風の再来はならなかった。

4選を確実にして万歳三唱する河野俊嗣氏(中央)=宮崎市で2022年12月25日午後11時10分、一宮俊介撮影
4選を確実にして万歳三唱する河野俊嗣氏(中央)=宮崎市で2022年12月25日午後11時10分、一宮俊介撮影

 河野氏が副知事として仕えた東国原氏と事実上の一騎打ちとなった選挙戦で、有権者は河野県政の「継続」を選んだ。25日夜に当選確実の一報が伝えられると、宮崎市内の河野氏の事務所は、集まった支持者の歓声と拍手で沸き返った。河野氏も涙をぬぐい、「大変厳しい選挙だったが、多くの方とスクラムを組んで勝利することができた。これまでの3期とは違う、次の段階の知事として頑張っていかなくてはいけない」と感謝を述べた。

やむなく草の根、無党派層の支持乏しく

 一方の東国原氏陣営。河野氏を上回るには、浮動票を取り込むことが欠かせないとみて、SNS(ネット交流サービス)を活用した発信で投票率アップに取り組んだ。しかし大きなうねりを起こすまでには至らず、宮崎市内の事務所には落胆が広がった。

 1期で退任したことへの不信感が今も根強く残っていると感じた東国原氏は、街頭演説などで「当時の判断は未熟だった」と陳謝し、その上で「宮崎の風景をもう一度変えよう」「一人一人が宮崎を押し上げよう」などと呼びかけた。

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 選挙カーにも「今度はやめん」と書いてアピールした。河野氏の支援団体の幹部も「さすがに東国原氏は選挙巧者だ。見事な追い上げだ」と舌を巻き、危機感を募らせた。

 しかし「戻って何がしたいのか」「当選してもまた投げ出すのではないか」という有権者の声はくすぶり続け、初当選の原動力となった無党派層の支持は、当選に押し上げるまでには至らなかった。前回同様に草の根選挙になったものの、自民や公明、立憲民主などに求めた推薦が断られた末の選択で、初当選時の武器だった「しがらみのなさ」も失っていた。

 異例の構図となったことで注目を浴びた知事選。07年に東国原氏を支持したという宮崎市の男性会社員(67)は「(東国原氏が)再び立候補したことが理解に苦しみ、手腕が安定している河野さんを選んだ。当時は東国原さんに知事をもう1期続けてほしいと期待していたのだが……」と振り返った。【一宮俊介、塩月由香】