将棋の羽生善治九段が29年間守った順位戦A級から陥落 来期について「特にまだ何も考えていない」

将棋の永世七冠資格保持者・羽生善治九段(51)が4日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた第80期順位戦A級8回戦で永瀬拓矢王座(29)に先手で敗れ、A級からの降級が確定した。

【写真】メガネなしのレアショット  順位戦の最上位であるA級には10人が在籍し、年度を通して総当たりのリーグ戦を各9局戦い、優勝者が名人挑戦権を得る。下位2人がB級1組に降級する。  

本局に敗れた羽生九段は2勝6敗となり、3月3日の最終戦を待たずに降級が確定した。22歳時に初参加した1993年度から29期連続(名人在位9期含む)で在籍していたA級からの初の陥落となった。  

一時代を築いた棋士にとってA級陥落の意味は重く、故・米長邦雄永世棋聖(1997年度まで26期連続在籍)と十八世名人資格保持者の森内俊之九段(51、2016年度まで22期連続在籍)はA級から降級した直後、順位戦には参加しない「フリークラス」への転出を宣言した。  一方、現在もB級2組に在籍して順位戦を戦い続けている十七世名人資格保持者・谷川浩司九段(59)の例もある。

 局後の羽生九段は、降級について「内容も結果も伴わなかったので、致し方ない結果かなと思います」と振り返りながら、来期の意向について「特にまだ考えていないので。次の一局に全力を尽くしたいと思います」と語るにとどめた。  

羽生九段は1970年、埼玉県所沢市生まれで東京都八王子市出身。85年、加藤一二三九段と谷川浩司九段に次ぐ史上3人目の中学生棋士としてデビュー。89年に史上最年少(当時)の19歳で初タイトルの竜王を獲得した。  96年には史上初の全七冠同時制覇を成し遂げ、社会現象を巻き起こした。

獲得タイトル99期、通算1494勝は史上1位。2017年には全ての永世称号資格を得る永世七冠となり、将棋界初の国民栄誉賞を受賞した。  タイトルは2018年に竜王を失冠して27年ぶりの無冠に転落して以来、獲得から遠ざかっているが、20年の竜王戦で挑戦者になるなど活躍を続けており、節目の100期到達が待望されている。