ひと昔前なら破門…藤井竜王驚きの7七金

<ひふみんEYE>

将棋の藤井聡太竜王(王位・叡王・棋聖=19)が30日、栃木県大田原市「ホテル花月」で29日からの2日制で行われた第71期ALSOK杯王将戦7番勝負第3局(主催 毎日新聞社・スポーツニッポン新聞社・日本将棋連盟)で 渡辺明王将(名人・棋王=37)を下して3連勝とし、初の王将奪取と、19歳7カ月の史上最年少5冠にあと1勝とした。その指し手を「ひふみん」こと、加藤一二三・九段(82)が解説します。

藤井さんの新構想に驚かされました。27手目の先手7七金。普通、金は3段目に上がらないものです。ひと昔前なら、「荷物をまとめて国に帰れ」と師匠から破門を申し渡されてもおかしくないですから。それを次に先手8六歩から先手8七金と回る。こんな発想はありませんでした。豊富な研究に裏打ちされた手なのでしょう。この金、最後の最後には詰みにつながるわけですから。

今局の争点となったのは、封じ手の後手5六歩(62手目)でしょう。私は2時間くらい考えて、ここは後手5二玉とするのが最有力だと思っていました。不利にはならず、いい形だと思いましたから。

これに対し、83分考えて指した先手2二歩が鮮やかでした。後手同金と取らせて、壁金で無力化させてしまいましたから。「天才藤井」の真骨頂でしょう。渡辺さんはこの手を軽視していたのではないでしょうか。

以下、目立ったのは藤井さんの歩使いの妙です。76手目後手4二桂の催促に対し、「言い分を通す」形で、手筋の歩を77手目先手4四歩→先手2四歩→先手4三歩→先手4五歩と、連打しました。これで「技あり」。格言通り、「一歩千金」です。

最も価値の低い歩を活用して、最大級の効果を挙げ、優勢を築きました。「争点の歩」に、「焦点の歩」で巧みに対応しました。

まさに会心の3連勝。ストレート勝ちが濃厚な状況です。羽生さんが1996年(平8)に谷川さんから王将を奪って7冠全制覇を果たした時も、4連勝でした。「歴史は繰り返す」に…以下ソース

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/2022013000…