GAFA規制強化法案 米下院に提出 市場支配力に警戒強まる

米下院の超党派議員は11日、米グーグルなど「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業の市場支配力を制限するための五つの独占禁止法(反トラスト法)改正案を提出した。運営する通販サイトにおいて自社商品を販売することへの制限などが盛り込まれた。法案成立は見通せないものの、米議会ではGAFAの市場支配力に警戒が高まっており、独禁法の抜本改正につながる可能性がある。

 法案を提出したのは、独禁法を所管する下院司法委員会の超党派議員ら。プラットフォーム独占禁止法案は、通販サイトやアプリストアのようなデジタルサービスの基盤となる「プラットフォーム」の運営企業が、自社のプラットフォーム上で事業を展開することを禁止する。別の法案では、プラットフォーム企業が自社の製品やサービスを競合他社よりも優先的に提供することを規制する。

 GAFAによる利用者データの囲い込みを防ぐため、オンラインサービスの利用者が自身のデータを別サービスに持ち運べるようにしたり、独禁法を所管する米司法省や連邦取引委員会(FTC)の機能を強化したりすることなども盛り込まれた。

 これらの法案が成立すれば、アマゾンが自社通販サイトで自社ブランド商品を販売したり、グーグルがネット検索画面で自社サービスを表示したりする行為が大幅に制限されるほか、独禁法当局がGAFAに事業分割を要求する可能性もある。

 下院司法委員会の小委員会は2020年10月にまとめた報告書で、GAFAがデジタル市場での市場支配力を乱用して競争環境をゆがめていると結論付け、会社分割や独禁法改正による規制強化を提言した。今回の法案は、この報告書を踏まえたものだが、民主党と共和党では規制強化を巡って温度差があり、法案審議では曲折が予想される。【ワシントン中井正裕】