正確には「日本人は」貧しくなった

アベノミクスで日本が急速に貧しくなった、というんだが、正確には「日本人は」貧しくなったのであって、日本という国そのものは貧しくはない。対外的には巨大なカネを貸している高利貸の親玉みたいなもんだ。景気の良かった30年前までに稼いだ外貨を日本に持ち帰らず、ODAで外国に貸し出す途を選んだ。日本人の生活は30年前と変わらないが、30年前には裸足で糸電話だった南国の土人が今では世界中でiPhone使っているw

賃金やGDPの日本の立ち後れについてよく言われるのは、過去20年以上にわたって、日本経済がほとんど成長しなかったことだ。
それに対して、世界の多くの国では経済が成長した。「このため、日本が取り残された」と言われる。
この考えによれば、日本が貧しくなった原因は、日本の成長率の低さだということになる。確かにそうだ。しかし、ここでとどまらずに、さらに検討を続ける必要がある。
なぜなら、アメリカで物価が上がり日本で上がらなければ、あるいはアメリカで名目賃金が上がり日本で上がらなければ、為替レートが円高になって調整されるはずだからである。
ところが、日本は金融政策によって為替レートを円安に導いた。このため、国際的に見て日本の物価や賃金が安くなったのだ。
したがって、現在の日本の低い賃金や「安い日本」を問題とするのであれば、その責任はアベノミクスにあるということになる。
円安になれば簡単に利益が増えるので、技術開発や新しいビジネスモデルへの転換が行われず、その結果、賃金が上昇しなかった。
円安は次の二重の意味において、日本を貧しくしたことになる。
為替レートが円安になったため、日本円の購買力が低下した。これは、「円安の直接効果」だ。
円安の麻薬効果によって、日本企業が技術開発やビジネスモデルの転換を怠った。これは、「円安の間接効果」だ。「亡国の円安」としか言いようがない。

日本は成長の先が見えずに停滞した。じゃあ、アメリカや先進国はどうなのかというと、格差が広がっただけで、庶民の生活が豊かになったとは言えない。まぁ、グローバリズムの目指すところは、世界中を均一な市場するという方向性なので、貧しい国が豊かになるのは良いことなんだが、じゃあ、勝ち組がいかにして勝ち組の座を維持するかというのは、目標が見えないので、なかなか難しいところだ。