将棋の夢破れた兄を追って 小高佐季子女流初段が泣いた日

2年前の3月12日。

 将棋の小高佐季子女流初段(21)=千葉県佐倉市出身=は、ツイッター(現X)にこう書いた。

 “本日の三段リーグの結果で年齢制限により兄の悠太郎が奨励会を退会しました”

 佐季子さんには七つ年上の兄がいる。

 兄もプロの棋士をめざし、養成機関の「奨励会」で同世代のライバルたちと狭き門を争っていた。

 だが、全国の「天才」たちが集まる厳しい世界。一定の年齢までに規定の成績に届かなければ退会となる決まりがある。

 この日、兄は最後の対局に勝てず、奨励会からの退会が決まった。幼い頃からの夢だったプロ棋士をあきらめる、ということだ。

 同じ将棋の道を歩んできた佐季子さんは、ツイッターでこう続けた。

 “兄は本当に将棋が強いので悔しくて悲しくて涙が止まりません”

兄が挑んだ三段リーグは「生きるか死ぬか」

 兄の悠太郎さん(27)が将棋を始めたのは5歳のころ。将棋が好きな父親の弘之さんに連日、市内の将棋道場に連れて行かれた。

 「本当は学校の友達と遊んで…

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