参政党がTBS「報道特集」に抗議 識者は「報道への圧力」と指摘

「選挙報道として著しく公平性・中立性を欠く」

TBS放送センター=東京都港区で2023年、屋代尚則撮影

 TBSが参院選(20日投開票)を巡って放送した「報道特集」の内容について、参政党は13日、「選挙報道として著しく公平性・中立性を欠く」と抗議し、訂正を求める申し入れ書を公開した。専門家は「報道に対する政党からの圧力であって、許されない」と指摘している。

 番組は12日に放送された報道特集の「争点に急浮上 “外国人政策”に不安の声」。「日本人ファースト」を打ち出す参政党について「『外国人が優遇されている』などと訴え、犯罪や生活保護について強硬な主張を繰り返す」と説明した。神谷宗幣代表の発言や、差別的な風潮を不安視する留学生の声も紹介した。

参政党はホームページで「番組の構成・表現・登場人物の選定等が放送倫理に反する」と主張し「不当な偏向報道」に当たるという見解を示した。放送倫理・番組向上機構(BPO)にも、既に神谷代表の意見を提出したという。

 TBSの広報担当者は14日、「申し入れは頂いている。(参政党には)お答えさせていただく」とコメントした。

https://b638271948dda8cd4da300f04d04af65.safeframe.googlesyndication.com/safeframe/1-0-45/html/container.html

 専修大の山田健太教授(言論法)は、放送法が定める「政治的公平」は「数量の平等ではなく質的な公正さ、すなわち公正な社会実現のために社会的弱者の声を取りあげたり、不正義をただしたりすることを指す」と指摘。「今回の番組は批判されるような内容ではまったくない」として「公平かどうかの判断を政党や政治家が行うべきではない」と語った。【原奈摘、斎藤良太】

「公平性・中立性を欠く」参政党が『報道特集』に抗議&BPOに意見でSNS物議 放送法違反? 元キー局Pの見解

7/14(月) 11:33配信1522

※画像はTBS『報道特集』公式サイトより

 7月12日に放送された報道ドキュメンタリー番組『報道特集』(TBS系)および、同番組のメインキャスター・山本恵里伽アナウンサー(31)の同番組内での発言が物議を醸し、TBSが大揺れとなっている——。 ■【画像】参政党が抗議したTBS『報道特集』のMC、“1か月前のセクハラ騒動芸能人”と写る写真 「この日の『報道特集』では、7月20日の参議院選挙に候補者を擁立している参政党を名指しで批判するような内容の放送をしたことで、SNS、ネットが大荒れに。Xでは、放送2日後の14日朝にも番組名と山本アナの名前がトレンド入りしてます」(女性誌編集者)  12日の『報道特集』では、今度の参院選で「日本人ファースト」を掲げる参政党が支持をのばしていること、争点に「外国人政策」が急浮上していることなどが取り上げられた。  番組内では参政党の神谷宗幣代表(47)が「まず自国民の生活をしっかりと守っていこう」を訴える演説映像とともに、ナレーションで「参政党は外国人が優遇されているなどと訴え、犯罪や生活保護について強硬な主張を繰り返す」とした。  その後、識者の声や各方面の動きなどが扱われたほか、画面右上にテロップで「根拠のない“外国人優遇”」「広がる“排外主義”への不安」「“選挙ヘイト”を許さない」などの文言を表示しながら特集が続いた。  締めに山本アナは、外国人政策によって、これまで注目されなかった排外的な主張が支持され、それによって差別的な言葉がSNSで拡散されているという現状に「正直、凄く戸惑いを感じています」とコメント。 「実際、外国籍の人と全く関わらずに生活をしている人って実はほとんどいないと思うんです。学校の友達だったり職場の同僚だったり」とし、「自分の1票がひょっとしたらそういった身近な人たちの暮らしを脅やかすものになるかもしれない。これまで以上に想像力を持って投票しなければいけないなと感じています」などと話した。  日下部正樹キャスター(65)は、想像力を欠くと差別は瞬く間に社会に広がってしまうと言い、「本当なら差別を止めるはずの政治家が誤った情報をもとに、外国人が優遇されていると喧伝しています。外国人がいなくなれば本当に問題が解決するんでしょうか。差別が票になるような社会にしてはならないと思います」と語った。 『報道特集』の放送を受けて、参政党は13日にTBSに対して「選挙報道として著しく公平性・中立性を欠く内容」だと厳重抗議。「すでにBPO(放送倫理・番組向上機構)に対し当党代表の意見を提出済み」と、訂正等を求める申入書を提出したことを発表した。  一連の流れにSNSでは、 《TBSが正しい。参政党は炎上商法。論外》 《参政党が抗議するって?図星だからだろ》 《コンビニに行ったら、レジに日本人が居るのが珍しかったりしますよね。外国籍の若者達に日本の社会を支えて貰っていると実感してます。これは東京だけでは無い筈》  と、『報道特集』や山本アナをフォローする声もある一方で、 《公平な報道をしているとは思えない。》 《メディアの者のこんな物言い、世論誘導だと思うよ》 《これは暗に参政党に投票するな、と言っている。公共放送がこんな特定の政党が不利になる発言していいのか!?》  といった、公平性を欠いている放送だったと指摘する声が多数寄せられているのだ。 「『報道特集』の内容は放送法に違反しているのでは、と指摘する声もあります。確かに、放送法の第4条にある“政治的に公平であること”からは外れている気もする放送内容でしたが……」(前同)

「公平性・中立性を欠く」参政党が『報道特集』に抗議&BPOに意見でSNS物議 放送法違反? 元キー局Pの見解

■「放送法に違反しているのか?」元キー局プロデューサーの見解

 SNS、ネットが大荒れとなっている7月12日の『報道特集』の内容——元テレビ朝日プロデューサーで報道、情報番組を手掛けてきた鎮目博道氏は、こう分析する。 「まず、『報道特集』は、独自での取材がしっかり行なわれている硬派な報道番組である点は評価されています。  しかし、番組の姿勢が公正ではなく、いわゆるリベラルに偏っているのではないか、とは前から言われていて、賛否ある番組ではありました。  今回の放送の場合、参政党だけを取り上げて批判していた、という意味では、非難が起きても不思議ではないと思います」(鎮目氏、以下同)  一方で、鎮目氏は「放送法に違反しているのか?」という質問には「そこまでとは言えないと思う」と言い、こう続ける。 「少し前にBPOが選挙報道について見解を出しているんです。選挙報道は公正中立にやらなければいけない、という規定があるのは確かですが、その解釈の仕方として“1つの番組の、1回の放送を見て判断するべきではない”と言っているんです。それは、“選挙期間中の、1つの放送局全体で考えて、バランスがとれているか”で判断するべきだと見解を出しているんですよね」  政党の数が増えていることもあり、1回の放送で、すべての政党について取り扱うのは不可能に近い。そのため、何回かに分けて各政党を放送しないと、尺が足らなくなってしまう、という事情も鎮目氏は指摘する。 「そのため、今回の場合、7月12日放送の『報道特集』だけを取り上げて“放送法違反か?”と聞かれると、そうとまでは言えないのかな、と僕は思います。  もちろん、あの放送内容では参政党だけを非難しているような感じなので、支持者から批判されるのは不思議ではない。参政党の主張の良いところなども総合的に取り上げないと、番組に対して厳しい声が出るのは仕方ないところはありますね。  前に述べたように『報道特集』は、若干、政治的に中立とは言えない気もするので……たとえば、次回の『報道特集』は選挙の前日に放送されますが、そこでの内容でバランスをとるとか、そういうことが必要かもしれないな、とは個人的に思います。  また、TBSでは『報道特集』だけでなく多くのニュース番組が放送されていますから、その内容も含めて、全体的にバランスが取れていれば、放送法違反ということにはならないと思われます」  大揺れとなっているTBSの『報道特集』。参院選直前の7月19日には、どんな内容が放送されるのか——。