内閣支持率の急落、政府・与党内に衝撃…岸田首相はマイナ対策への注力で信頼回復図る考え

読売新聞社の全国世論調査で岸田内閣の支持率が大幅に下落したことに、政府・与党内で衝撃が広がった。岸田首相は、トラブルが続発しているマイナンバーカードの対策に注力し、信頼回復を図りたい考えだ。混乱が長引けば、首相の秋以降の衆院解散戦略に影響が出る恐れもある。 【グラフ】岸田内閣の支持率の推移

(写真:読売新聞)

 自民党茂木幹事長は25日、支持率低下について、「マイナンバーの問題が影響しているのではないか。国民の不安払拭(ふっしょく)に政府を挙げて、全力で取り組んでほしい」と語った。公明党の山口代表も「政府は(対応が)後手に回っている」と危機感を示した。

 マイナカードを巡っては、健康保険証と一体化した「マイナ保険証」で他人の個人情報が誤ってひもづけられた事例が確認されるなど、問題が相次いでいる。首相は21日、マイナカードの専用サイト「マイナポータル」で情報を閲覧できる税・所得など全29項目について、河野デジタル相らに秋までの総点検を指示した。

 政府は24年秋に健康保険証を原則廃止してマイナカードへ一本化し、25年秋までに全面廃止する方針だが、与党内でも「急ぎすぎだ」などとの批判がある。首相は全面廃止について、「不安払拭の措置完了が大前提だ」と強調しているが、懸念解消への道は険しい。

 河野氏は25日、新潟県新発田市内での講演で、「デジタル化を今、立ち止まってということができるかというと、なかなかそうはいかないだろう」と述べた。

 自民幹部は「このまま突破したいという河野氏の気持ちは分かるが、居直りともとられかねない」と危惧した。政府・与党内では、「マイナンバー問題が今後の政治日程全体に重くのしかかり、首相は解散時期を判断しにくくなった」との見方が出ている。

 支持率低下の要因は複合的だとみられる。不支持の理由で「首相が信頼できない」との回答が前回調査から7ポイント増え、22%となったことに関し、財務省幹部は少子化対策や防衛費増額で「負担増の議論から逃げていることを見透かされた」と分析した。

 自公連立政権に否定的な意見が多かったことについては、「公明は自民と東京の選挙区調整が難航し、『信頼関係は地に落ちた』と明言したが、連立維持にはこだわり、自民もそれを受け入れた。国民は『党利党略だ』と嫌気が差している」(自民中堅)との声が上がった。