
孤立死 「死ぬことだけは管理する あとはご自由に」という社会

2024年1~6月に自宅で死亡した1人暮らしの人は全国で3万7227人(暫定値)いて、うち65歳以上の高齢者は2万8330人だったとする調査結果を、24年8月に警察庁が公表しました。内閣府の「孤独死・孤立死」の実態把握に関するワーキンググループの座長も務める、早稲田大学文学学術院教授の石田光規さんに聞きました。【聞き手・須藤孝】
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――調査結果をどうみますか。
◆今回のデータは死後経過日数が入っているのが特徴です。公的な機関による全国調査は初めてですが、さまざまなデータを見てきた立場からは、孤立死が増えていることが明確に示されたと思います。
2011年に、ニッセイ基礎研究所が東京都のデータをもとに全国推計をした報告書がありますが、それよりも大きな数字になっています。孤立死は都市部で多いので、東京都のデータをもとにすると過大になりがちなのですが、それでも今回の数字のほうが大きかったのです。
――マイナスのものという決めつけがあります。
◆高齢者の1人暮らしは確実に増えていきます。孤立死の可能性はだれにでもあります。あまり悲惨だと言うと、レッテル貼りになってしまいます。
最後まで一人ではいられない
――孤立は個人の自由だという考え方もあります。
◆介入を嫌う気持ちはあるでしょう。政府も押しつけと取られないよう、慎重に対応しています。
ただ、私たちは最後まで一人ではいられません。死後の処理は必ず自分以外の人がしなければなりません。死んでしまえば、社会とつながってしまうのです。
――結局は社会が対応しているということでしょうか。
◆孤立死は増えすぎて、医療・福祉の現場は負担に耐えられなくなりつつあります。身元引受人がおらず、どういう人かもわからないなかで救命…