角野卓造が感動
角野卓造は、ドラマ『HERO』の撮影中に
木村拓哉の“伝説”を身をもって体感したという。
それは——木村が一度も台本を
現場に持ち込まなかったことだ。
長期にわたる撮影の間
角野は木村が台本を手にしている姿を
一度も見たことがなかった。
それでも、共演者のセリフまで
すべて頭に入っているため
リズム感のあるテンポの良い
やり取りが生まれ、
現場には常に一体感が漂っていた。
その完璧な準備と集中力に
角野は「本物のプロだ」と深く感動したという。
また、休憩時間には
“ジャンケンで負けた人が昼食を買いに行く”
という恒例のゲームがあった。
渋谷のスタジオで木村が負けた日
彼は全員分の注文を丁寧にメモに取り
自ら店まで買いに出向いた。
真昼間の渋谷で大騒ぎになることが
わかっていながらも、木村はまったく
気負わず自然体で行動したという。
その姿に、角野は木村の男気と
真摯さを肌で感じたと語る。
回想する口調には、木村への尊敬と
温かい撮影現場の空気がにじんでいた。
『HERO』が人々の心を掴んだ理由——
それは、現場に流れていた信頼と絆の空気
そして木村拓哉という俳優の
誠実な姿勢にあったのだろう。







