新興政党の党首は大阪人ばかり 井上章一さんと「政界の謎」に挑む

参院選では連日、交流サイト(SNS)やテレビで、党首らの演説が流れていた。

 在阪の参院選取材班が気付いた。「大阪の人ばっかりやん」

 日本維新の会、れいわ新選組、参政党、日本保守党、そして政治団体のNHK党。党首たちの経歴を調べると、大阪で育ったり、学んだりしている。

 何か理由があるに違いない。

 「京都ぎらい」「大阪的『おもろいおばはん』は、こうしてつくられた」「関西人の正体」などの著書のある国際日本文化研究センター(日文研)の井上章一所長と探った。

 まずは、大阪にゆかりがある党首の略歴の説明から。

 日本維新の会の吉村洋文代表は大阪府河内長野市出身。党創設者の橋下徹氏は東京出身だが大阪育ち、2代目代表の松井一郎氏も大阪府出身だ。

 参政党の神谷宗幣代表は福井県高浜町生まれだが、関西大法科大学院を修了し、大阪府吹田市議も務めた。

 れいわ新選組の山本太郎代表は兵庫県宝塚市出身で、箕面自由学園高(大阪府)を中退し、芸能界で活躍した。

 日本保守党の百田尚樹代表は大阪市出身。同志社大を中退し、放送作家になり「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送テレビ)などを手がけた。

 NHK党の立花孝志党首は大阪府泉大津市出身で、2024年には同市長選にも立候補した。参院選兵庫選挙区にも出馬した。

 さて、井上さんはどうみるか。

関西なまりを押し通す党首ら

 ――党首らをみて何か感じますか。

 ◆テレビで見ると、みなさん、わりと関西なまりを出していますね。

 旧社会党の佐々木更三委員長はズーズー弁で有名でした。方言で話す政治家がいなかったわけではないですが、(同じ党の)土井たか子さんは関西なまりを出さなかったですね。あの世界に行ったら、なるべく控えていたんじゃないかな。

 でも今の党首たちは、関西なまりを押し通そうとしている気がします。…

自民「何を訴えれば…」 外国人政策でも防戦一方 参院選

参院選の街頭演説に集まった有権者ら=東京・銀座で2025年7月19日午後4時31分、本社ヘリから

 20日に投開票される参院選では、「物価高対策」が主な争点の一つとなった。与党が1人2万~4万円の給付を打ち出したのに対し、野党は消費減税を訴えた。選挙戦中盤以降、外国人労働者の増加を背景に外国人政策についても議論が交わされた。

 自民党は選挙戦で「責任政党」を掲げ、最大の争点となった物価高対策では、消費減税を訴える野党各党と差別化を図った。

 石破茂首相は医療や年金、介護、子育ての財源となる消費税の税率を維持する必要性を強調。「この財源を傷つけてはなりません。今さえ良ければいい。自分たちが良ければいい。自民党はそうであってはならないと固く信じている」と野党を批判した。

 一方、2040年までに名目国内総生産(GDP)を1000兆円に引き上げ、持続的な経済成長による賃上げの実現を主張した。賃金上昇幅を上回る現状の物価高対策として、1人2万~4万円の現金給付で迅速に対応すると説明。野党からの「バラマキ批判」に対し、首相は「まだまだ暮らしが苦しいご家庭に重点的に手当てをしなきゃいかん」と対抗した。

 首相は得意の安全保障政策についても積極的に訴えた。ウクライナ侵攻を続けるロシアに対する北朝鮮の兵士派遣やイランの武器輸出に触れ、「中東とウクライナ、アジアは全部つながっている」と指摘。「安全保障の話を全然しないのはおかしい」と野党と比較し、政権担当能力をアピールした。街頭演説では、持論の防災体制の拡充や地方創生についても多くの時間を割いた。

 だが、責任政党を強調するばかりで…