将棋界の歴史を塗り替える


「5分で分かることを45分かけてしゃべるのは無駄」。
小学校の授業中、先生にそう言い放った少年は、後に将棋界の歴史を塗り替える天才棋士・藤井聡太でした。
先生は「聡太みたいな子もいれば、そうじゃない子もいるんだよ」と諭しましたが、藤井少年はその言葉の意味を瞬時に理解したといいます。
彼の非凡さは、幼い頃から随所に現れていました。将棋に夢中になるあまり、帰り道でドブに落ちたり、母親にかまってほしくてうろうろしたりと、子供らしい一面も。しかし、一度将棋盤に向かえば、その集中力と探求心は大人顔負け。中学生にして得意なことの1位と3位に「詰将棋を解くこと」と「詰将棋を作ること」を挙げるほど、将棋にのめり込んでいました。
驚いたことを聞かれれば「加藤一二三先生のカバンからチーズが出てきたこと」と答え、その純粋さで周囲を和ませる一方で、中学2年生のスポーツテストでは50mを6.8秒で走るなど、意外な運動能力も持っています。
前人未到の29連勝を達成した際には、対局中の食事の出前を担当した「みろく庵」のおじさんにまで注目が集まり、社会現象となりました。
盤上の圧倒的な強さと、時折見せる少年らしい素顔。そのギャップこそが、藤井聡太という棋士の尽きない魅力なのです。





