
ホンダと日産自動車は13日、昨年12月から本格化した経営統合に向けた協議を終了すると発表した。日産の事業再生計画や経営統合の方式などを巡り、両社の考え方の溝が埋まらなかった。ソフトウエア開発などの分野ごとの協業は引き続き検討する方針。

日産は事業再生計画を公表
ホンダと日産自動車の経営統合協議が正式に打ち切りとなった。協議入りの発表からわずか50日あまりでの破談で、深い溝が明らかになった。両社は今後も電気自動車(EV)や知能化などの分野の協業は進めていく方針を改めて示した。ただ両社とも、単独での生き残りは難しいとみられ、新たな経営の軸を一刻も早く見定める必要がある。
「両社で経営統合に踏み出せなかったのは大変残念だ。今後は経営統合よりは相乗効果は少なくなるが、戦略的な協力関係を最大化していく」。ホンダの三部敏宏社長は13日、急きょ開催を発表したオンライン記者会見で破談に至った思いと今後の方向性について語った。EVやソフトウエア開発などの協業については昨年8月の発表に基づき継続する方針も示した。
同日夕、日産も横浜市内の本社で決算記者会見を開き、内田誠社長が「完全子会社では日産の強みを最大限にするのは難しい」などと述べ、協議決裂の理由を説明した。
日産はこの日、国内外で9000人の人員削減や生産能力の2割減を柱とする事業再生計画の具体策を公表した。計画では、2026年度までにタイなどの3工場を閉鎖するなどして生産体制を縮小。新規採用の抑制による自然減や早期退職の募集などを進める方針とした。事務系などの間接部門は2500人、生産部門で6500人の削減を見込んだ。
さらに組織のスリム化の一環として、現行の執行役員を2割削減するなどの改革案も示した。
ただ、一部の工場閉鎖にも踏み込んだものの、具体的な計画は依然不透明さが残る。
日産、ルノーと「対等」になったが…
ホンダからの子会社化案に強い抵抗感を示したとされる日産だが、日産の経営立て直しは「外部」の力に頼ってきた側面が強い。
1990年代に経営危機に陥った際は、独ダイムラー・ベンツ(当時)との提携を模索した。しかし、交渉は決裂。まもなく99年に仏ルノーからの出資を受け入れて、カルロス・ゴーン氏による…