参政党躍進に文科省内から懸念の声 教育勅語尊重は「戦前を想起」

 「予想はしていたが、大変な結果になった」

 「教育基本法がひっくり返るような事態につながりかねない」

 参院選で議席を大幅に増やした参政党に対して、文部科学省内からこんな懸念の声が上がっている。

 最大の理由は参政党が掲げる「教育勅語の尊重」だ。戦時中の国民の精神的支柱とされる明治天皇の詔勅(しょうちょく)を復活させるかのような主張を掲げる政党の躍進は、教育政策にどのような影響を及ぼすのか。

「非常に強い危機感があります。有権者がこうした過激な主張まで理解した上で投票したとは考えたくないが……」

 文科省のある官僚が警戒感を向けるのは、参政党がホームページで公表している「新日本憲法(構想案)」の一節だ。

 参政党は参院選に向けた公約に「偏差値重視の管理教育を廃止」を掲げた。さらにホームページの「政策カタログ」を見ると、「奨学金の拡充」「個性に寄り添った教育環境整備」「教員待遇の改善」といった聞き心地のよい主張が並ぶ。

 一見、政策として前面に押し出されていないように見える新憲法案だが、その9条4項にはこうある。

 「教育勅語など歴代の詔勅、愛国心、食と健康、地域の祭祀(さいし)や偉人、伝統行事は、教育において尊重しなければならない」

 言及されている教育勅語は1890年、大日本帝国憲法下で君主とされていた明治天皇が、臣民という位置付けの国民に対して守るべき徳目を説いた言葉だ。

 注目されるのが「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」という部分。旧文部省は1940年の全文通釈…