万博のユスリカ大量発生問題 吉村知事がアース製薬社長に協力直談判

大阪・関西万博の会場で、蚊に似た羽虫のユスリカが大量に発生している問題で、大阪府吉村洋文知事は21日、殺虫剤や防虫剤を販売するアース製薬(東京)に対し、駆除対策への協力を要請したと明らかにした。

吉村知事はこの日の記者会見で、ユスリカが大量発生すると来場者の不快感につながると指摘。「今日も万博会場に行きましたけれども、ちょっと看過できないなというのは僕は肌で感じました」と述べた。

 府によると、事前に同社から協力の申し出があり、21日に吉村氏から同社の社長へ正式に協力を依頼したという。

 万博を主催する日本国際博覧会協会によると、ユスリカは噴水ショーなどがある会場南側の「ウォータープラザ」を中心に発生。協会は、発生源とみられる水たまりや植栽に薬剤を投入し、繁殖を抑える対策を講じるなどしているが、依然として多くのユスリカが会場内に発生しているという。

 大阪・関西万博の閉場時間を1時間延長する案について、大阪府吉村洋文知事は21日、実現は「難しい」との認識を示した。その上で「折衷案」として、会場内の飲食店や物販店の営業時間を閉場時間の午後10時ごろまで延ばすことを日本国際博覧会協会に提案したと明らかにした。

 吉村知事はこの日の記者会見で、閉場時間の延長や、それに伴うパビリオンなど各施設の利用時間の延長で、スタッフの勤務時間が増え、施設側の労務管理が難しくなるなどと説明。「午後11時まで延ばすのは難しいという、実務的、労務管理の理由は理解できる」とした。

 一方、現状では多くの飲食店などの営業が、多くの来場者が集まる「ドローンショー」が終わる午後9時ごろに終了していると指摘。「夜の万博」を楽しめる人を増やすために、「午後9時50分くらいまで物販や飲食については営業してもらいたい」と求めた。

 また、ドローンショーの直後に、多くの来場者やスタッフの帰宅時間が重なっているとし、営業時間を延ばすことは「混雑対策にもなる」としている。

 ただ午後10時までの営業が協会に認められても、実際に店を開けるかは各運営主体の判断になるとみられ、どこまで実現するかは見通せない。

 一方、会場の「西ゲート」の活用を進めるため、車を駐車して会場行きの直行バスに乗り換えるP&R(パーク・アンド・ライド)の駐車場料金について、4人以上が1台に乗ってくれば半額にする案を協会に提案したことも明らかにした。P&Rは伸び悩んでおり、平日は利用枠の1割、土日は3割程度の利用にとどまっているという。

 吉村知事や大阪市の横山英幸市長は協会の副会長を務めている。両氏は17日、万博の国際団体・博覧会国際事務局(BIE)のディミトリ・ケルケンツェス事務局長と会場内で面談。ケルケンツェス氏から1時間延長などの提案を受け、検討していく考えを示していた。