
トランプ米政権は9日、約60カ国・地域に対する最大50%の「相互関税」について、報復関税を発動せず米国との交渉を求める国・地域については、90日間停止すると発表した。

トランプ米政権は9日、約60カ国・地域に対する最大50%の「相互関税」について、報復関税を発動せず米国との交渉を求める国・地域については、90日間停止すると発表した。この間は10%の「一律関税」を適用して貿易交渉を進める。報復措置をとらず閣僚間での交渉開始を決めた日本も、90日間は10%関税が適用されるとみられる。
一方、大規模な報復関税を発表した中国に対しては関税を125%に引き上げる。トランプ大統領は9日、記者団に「報復措置をとるなら、我々は倍返しするつもりだと言ってきた。中国が実際に報復措置をとってきたので実施した」と述べた。
トランプ氏は、相互関税の90日間停止や、中国への関税引き上げ措置を「即時発効させる」と説明した。

政府高官によると、欧州連合(EU)への相互関税も一時停止して10%とする。また、米国外で作られた自動車や鉄鋼・アルミニウムに対する25%関税は継続する。
トランプ政権は5日に全ての国・地域に対し10%の一律関税を発動し、9日には米国の貿易赤字が大きい約60カ国・地域を対象に相互関税を発動していた。日本への関税率は24%だった。
トランプ政権は、中国に対し当初34%の相互関税を予定していたが、中国側が同率の報復関税を表明したことで50%の上乗せを決定。これとは別に合成麻薬の流入対策の不備を理由に制裁関税(20%)を発動しており、9日以降、関税率は計104%となっていた。
反発する中国は9日、報復関税を84%に引き上げると発表。トランプ政権はこれを受け、中国への関税を125%に引き上げると決めた。【ワシントン大久保渉】