短期的には「安全」になるが、中・長期的に生態系は深刻な連鎖崩壊を起こします。
【クマ被害を無くすために全ての熊を射殺したらどうなるか】
全てのクマ(ツキノワグマ・ヒグマ)を日本から根絶した場合、短期的には「安全」になるが、中・長期的に生態系は深刻な連鎖崩壊を起こします。以下、段階別に具体的な影響をまとめます。
1.クマが消えると「爆発」する動物(1〜3年後) シカ・イノシシの大増殖 クマはシカの子どもを年間数百頭捕食。クマがいなくなると、シカは**3年で2倍以上**に増えます(環境省試算)。 → 農作物被害は現在の**10倍超**(年間150億円→1500億円規模)に跳ね上がる。 → 森林の若木が食い荒らされ、土砂崩れ・洪水リスクが急増。 サル・タヌキ・アライグマの異常繁殖 クマはこれらの「中型雑食獣」を押さえ込む「天敵」。クマ消失で**サル被害は5倍に(長野県実例)。 → 果樹園・家庭菜園が壊滅、ゴミ荒らしで感染症リスク増。
2.植物が「死ぬ」連鎖(3〜10年後) ドングリ・クルミの「種子散布者」が消滅 クマはドングリを数百m運んで埋める唯一の動物。 → ブナ・ミズナラが更新できなくなり、100年後には巨木林が消滅。 → 炭素吸収量が年間50万トン減(東北地方だけで試算)。 キノコ・山菜の異常発生→崩壊 クマはキノコを食べすぎない「調整役」。いなくなるとキノコが爆発的に増え、菌根菌が枯渇→ 翌年からキノコが激減。山菜採り文化が消える。
3.川と海まで死ぬ(10〜30年後) -サケ・マスが減る ヒグマはサケを川辺に運んで「肥料」を撒く。クマがいなくなると、川の窒素量が30%(北海道大学研究)。 → サケの遡上数が半減→ 沿岸漁業・観光が壊滅。 鳥が消える ドングリ林がなくなると、ヤマガラ・シジュウカラが餌不足で激減。 → 虫を食べる鳥がいなくなり、毛虫・ケムシの大発生で観光地が「虫地獄」に。
4.人間社会への跳ね返り -狩猟文化の崩壊 シカ・イノシシが増えすぎて猟師が追いつかなくなる → 現在年間10万頭のシカ捕獲が3万頭に激減(猟師高齢化+過剰労働)。 -「クマ恐惧症」の逆転 クマがいなくなった後、シカの大群が街に押し寄せる映像がSNSで拡散。 → 「クマがいた方がマシだった」という声が続出(実際に北海道で一部地域で発生中)。
現実的な「共存代替案」 -クマの生息数を30%減らす(現在の半分以下にはしない) → 被害は7割減、でも生態系は維持可能(秋田県の実証実験)。 電気柵+ドングリ補給でクマを山奥に誘導 → 岩手県では被害9割減に成功。 一言で言うと > 「クマを全部殺す=山を殺す=自分たちの未来を殺す」 クマは「森の支配者」ではなく「森の管理人」。 いなくなると、シカが森を食い尽くし、川が汚れ、海が死に、人間が泣く。 これが科学的な結論。 (参考:環境省「クマ科動物の保全管理検討会」報告書、北海道大学「ヒグマとサケの栄養循環」論文)





