もはや「フジテレビ解体」の道は避けられない

元テレビ局員が考える「スポンサー離れ」が進んだ先に起こること

もはや「フジテレビ解体」の道は避けられない…元テレビ局員が考える「スポンサー離れ」が進んだ先に起こること

1/19(日) 12:17配信135

■ついにスポンサー離れが始まった  会見のスケジュールにも疑問符がつく。  阪神・淡路大震災から30年となる1月17日、それも、金曜日の午後3時から、という設定は、ニュースバリューを小さくするため、と見られても仕方がない。大きなニュースの影に隠そうとしたのではないか。週末を越えれば風が止むとの見込みではないか。そんな疑念を抱かせるに十分だったからである。  ただ、こうやって、フジテレビの対応を、いくらあげつらっても、むなしい。  今回の港社長の会見は、木で鼻をくくる、というか、のれんに腕押し、というか、彼(ら)に何を言っても詮無い、としか感じられないからである。港社長が会見の冒頭で述べたように、現時点で本当に「おわび申し上げます」と思っているのなら、今回のような、「記者会見」とは呼べない代物を開いておいて、平然としていられるわけがないからである。  裏を返せば、これだけ、世間がフジテレビに声高に物を申すということは、それほどまでに、同社に期待をしているあらわれなのか。同社が「普通の会社」であるどころか、社会の公器=報道機関である、と願っているからなのか。  そうではない。同社に、そんな願望を持つことそのものが、お門違いだろう。  トヨタ自動車や日本生命保険といった、名だたる巨大スポンサーが、雪崩を打ってフジテレビでのCM放送を差し替えているのが、何よりのあらわれである。 ■「看過できかねます」とまで言い切っていたが…  昨年末の時点で「当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません」と断言したフジテレビは、その文書を、つぎのように結んでいる。  今回の件に関して、SNS等で弊社社員および関係者に関する憶測による記事・投稿が見られます。  誹謗中傷や名誉毀損に繋がる内容は看過できかねますので厳にお控えください。  「内容については事実でないことが含まれており」としながらも、どこが「事実でないこと」なのかを指摘せずに、「看過できかねます」とまで言い切っていた。  こうした対応を、初期に行ったのであれば、その筋を通すべきである。  実際、フジテレビ側は、会見で、「12月の時点で(同社社員の関与を)調査を終了していないにも関わらず否定されたコメントを出された」理由を問われ、「いろいろなものを調査継続中」であり、「そのホームページの記載自体も正しかったかどうかというのも(調査委員会に)判断していただきたい」と述べている。  こう答えている以上、まだ、12月に出した文書の見解=「当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません」は、維持されている。  もし、調査委員会に「判断していただきたい」のだとすれば、少なくとも、今回の港社長の会見で、この文書と、その内容について、撤回したり、訂正したり、といった対応が求められるのではないか。  主張を貫くわけでもなく、あらためるわけでもない。会見での質問を、のらりくらり、と交わすことに(しか)目的がないように、私には見える。  そんなフジテレビに、報道機関たれ、と望むのは、ムダである。

もはや「フジテレビ解体」の道は避けられない…元テレビ局員が考える「スポンサー離れ」が進んだ先に起こること

1/19(日) 12:17配信135

フジテレビ本社ビル(写真=Kakidai/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)

タレント・中居正広さんの女性トラブルに、フジテレビ社員が関与したと報じられたことをめぐり、フジテレビは17日、問題を指摘されてから初めて記者会見を開いた。元関西テレビ社員で、神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「会見をオープンにしなかっただけではなく、港浩一社長は記者からの質問に対して、『調査委員会に委ねる』という回答を連発した。フジテレビはもはや社会の公器たる報道機関とは言えないだろう」という――。 【写真】フジテレビの幹部たち ■火に油を注いだフジテレビ社長の会見  タレントの中居正広氏と女性とのトラブルにフジテレビの社員が関与していたと、週刊文春などが報じている。  フジテレビの港浩一社長は、今月17日、この問題が報じられてから初めての記者会見で、陳謝した。その会見は、これまでの「炎上」の火に油を注ぐ結果となっている。  たしかに、指摘すべき点は、枚挙にいとまがない。  今回、フジテレビは、記者クラブ(「ラジオ・テレビ記者会」、「東京放送記者会」)に加盟している新聞社・テレビ局・ラジオ局以外は、会見に参加させなかった。さらに、フジテレビ以外の民放テレビ局は、「オブザーバー(立会人)」扱いで、質問の権利を与えなかった。  それどころか、テレビ局の記者会見であるにもかかわらず、生中継はおろか、動画撮影を認めなかった。フジテレビは、今回は2月に予定されていた「定例会見」を前倒ししただけであり、枠組みをそのまま使っているとしているが、そんな言い分は通用しないだろう。  NHKニュースでは、会見の映像ではなく、「写真」=静止画、がまるで“紙芝居”のように繰り返された。異様な光景と呼ぶほかなく、かえって、フジテレビの後ろめたさや、やましさを想像させる結果となったのではないか。  静止画しか認めなかった、といえば、以前の国会の証人喚問が想起されるからである。  議院証言法(議員における証人の宣誓及び証言等に関する法律)が1988年に改正され、証人喚問中の撮影が禁止された。その後、1999年にふたたび改正されるまでの約11年間にわたって、国会中継では、証言の前に撮影した静止画が流されていた。  あの記憶を、今回の港社長の会見のニュースを見て、思い出した人も多いだろう。 ■質問に対して、「調査委員会に委ねる」を連発  映像をベースにする報道機関であり、何より、テレビ局なのに、自分たちが、どのように映るのかを想像できていない。免許事業として公共の電波を預かる会社であるにもかかわらず、説明責任を果たそうとせず、記者からの質問に対して「調査委員会に委ねる」という回答を連発したのでは、会見の意味がない。  自社のニュースや情報番組では、他の企業の不祥事を糾弾するくせに、自分たちには、甘い。記者会見をオープンにしなかっただけではなく、出席者にさえ質問させなかった姿勢は、いくら非難してもあまりある。  もとより、昨年末に週刊文春が中居正広氏と女性とのトラブルについて報じた際に、フジテレビがウェブサイトに出した「一部週刊誌等における弊社社員に関する報道について」と題する文書からして、対応を誤っていたと言わざるを得ない。  この文書のままの姿勢、つまり、「当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません」が正しいのなら、3週間以上がすぎたいまになって、「第三者の弁護士を中心とする調査委員会を立ち上げる」必要など、まったくないのではないか。