【追及スクープ】「500万人のマイナンバーと年収情報」を中国に丸投げした池袋の企業に支払われた「7100万円の報酬」

《事件の概要》 2017年の大幅な税制改正を受け日本年金機構は、厚生年金から所得税などを源泉徴収する「税額計算プログラム」を作成し直す必要があった。約770万人の厚生年金受給者に「扶養親族等申告書」を送付。記載内容に漏れや間違いがないかをチェックしてもらうとともに、あらたにマイナンバーや所得情報を記入し、送り返すよう要請。送り返されてきた「申告書」をデータ入力することでプログラム化をはかることとした。機構はその入力業務を、東京・池袋のデータ処理会社、SAY企画に委託したものの、同社が中国大連市のデータ処理会社に再委託したため、そこから日本の厚生年金受給者の個人情報が、中国のネット上に流出した。

前編記事はこちら『【追及スクープ】日本人500万人のマイナンバーと年収情報は、池袋の一室から中国の工場に「丸投げ」されていた』

岩瀬達哉(いわせ・たつや)/’55年、和歌山県生まれ。’04年、『年金大崩壊』『年金の悲劇』で講談社ノンフィクションを受賞。著書に『新聞が面白くない理由』『裁判官も人である 良心と組織の狭間で』『キツネ目 グリコ森永事件全真相』(いずれも講談社刊)ほか多数

なぜ大急ぎで支払ったか

このように、機構の給付業務調整室の福井室長は、履行能力のないことを百も承知でSAY企画に落札させ、数々の契約違反にも目をつぶり、約1億8255万円の契約を結んでいたのである。

この契約の不合理性について、立憲民主党の石橋通宏議員は参議院厚生労働委員会で質している。

「SAY企画、C級でしょう。……C級だけれども大丈夫と判断したその理由、出してください。出せるんですか」(’18年4月5日)

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C級というのは、霞が関の入札参加基準を定めた「全省庁統一資格」でCランクという意味である。Cランクは、基本的に「300万円以上、1500万円未満」の入札にしか参加できない規定だ。

水島理事長は、ここでもまた質問をはぐらかし、とぼけた虚偽答弁を返していた。

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「事前審査の状況におきまして履行能力がないというふうに判断することは極めて難しいと思います」

しかし先に見たように、「委託業者選定審査チェックリスト」を使った事前審査を、まともにおこなわず入札参加資格を与えていただけだった。その事実を隠す、一つ目の虚偽答弁をおこなっていたのである。