みちのく記念病院の殺人隠蔽

不適切な死亡診断が常態化か…記載された死因の大半が「肺炎」

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みちのく記念病院の殺人隠蔽、不適切な死亡診断が常態化か…記載された死因の大半が「肺炎」

2025/02/15 15:00保存して後で読む

送検される石山哲容疑者(15日午前9時30分、青森県八戸市で)
みちのく記念病院が遺族に手渡した死亡診断書

 みちのく記念病院(青森県八戸市、413床)の元院長らによる患者間殺人 隠蔽いんぺい 事件で、医師免許を持つ男性患者が虚偽の死亡診断書を書いたとみられることに関連し、県警が同じ男性患者の署名が入った数十人分の死亡診断書を押収していたことが、捜査関係者への取材でわかった。記載された死因は大半が「肺炎」だった。県警は、不適切な死亡診断が常態化していた可能性があるとみている。送検される石山哲容疑者(15日午前9時30分、青森県八戸市で)

 この事件では、「肺炎」という虚偽の死亡診断書を遺族に渡すなどし、事件の隠蔽を図ったとして、県警が、当時院長だった石山隆容疑者(61)と、その弟で殺人事件の被害者(当時73歳)の主治医だった石山哲容疑者(60)を犯人隠避容疑で逮捕した。被害者の死因は頭部や顔面の損傷だった。

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 虚偽の死亡診断書の医師署名欄には男性患者(当時89歳)の氏名があった。医師免許を持っていたが、認知症などの疑いで2022年12月から同病院に入院していた。病院職員などによると、対応できる医師がいない夜間などに患者が亡くなった場合、男性患者が死亡診断を任されることがあり、院内では「みとり医」と呼ばれていた。みちのく記念病院が遺族に手渡した死亡診断書

 ある看護師は取材に対し、「(死亡診断書を書く時は)死因欄を肺炎としていた。本人の署名がある死亡診断書を確認したが、ほとんどが肺炎だった」と証言する。一方で捜査関係者によると、押収した死亡診断書の中には、同じ氏名の署名でも筆跡が本人と異なるものがあり、県警は別の人物が書いた可能性もあるとみている。

 男性患者の署名が入った数十人分の死亡診断書が押収されたのは、殺人事件の発生翌月の23年4月、県警が虚偽診断書作成容疑などで病院を捜索した際だという。県警は当時、男性患者にも事情聴取を試みたが、認知症の影響か意思疎通が難しく、短時間で打ち切っていた。男性患者は昨年死亡した。

 捜索時の任意聴取では、男性患者について、石山隆容疑者が「医師として働かせている」と説明していた。しかし、男性患者に勤務医としての賃金は支給されていなかったとみられる。男性患者の長男は取材に、「父は病院から給与は受け取っていなかった。会話は成り立たず、死亡診断をするのは難しい状態だったと思う」と話している。

 県警は15日午前、石山隆、哲両容疑者を犯人隠避容疑で青森地検に送検した。