福井市出身の画家I.M.Hiroshi(アイエムヒロシ、本名・今村博)さん

2024年6月27日に逝去 1944年生まれ/80歳

山代温泉で福井出身画家 個展

 福井市出身の画家I.M.Hiroshi(アイエムヒロシ、本名・今村博)さん(76)の個展が、加賀市山代温泉温泉通のアートギャラリー・ブルーリズムで開かれている。世界中を旅した経験から生まれた、ハッピーで愛あふれる作品が並んでいる。三十日まで。(小室亜希子)

 Hiroshiさんは慶応大を卒業後、大手企業に勤めたが、画家になる夢を追い、三十歳で欧州に渡った。スペインやアフリカ、ニューヨーク、ブラジルなど世界中を旅しながら見聞を広め、五十歳ごろから九谷焼の絵付けにも挑戦を始めた。現在は福井市のアトリエを拠点に、精力的に作品を制作している。

 個展には油絵や陶芸作品約六十点が並ぶ。絵のモチーフはニューヨークのマンハッタンやフィレンツェの町並み、ジャマイカのビーチなど。現地でのスケッチに独自の創作を加え、色鮮やかな色彩で表現した。語らったり、手をつないだり、抱き合ったりする人々を描き、愛や幸福感が全体に満ちている。

 「一度きりの人生ならば、いろんな人や文化、芸術に触れて生きていく。学ぶものがいっぱいある」とHiroshiさん。昨年は脳梗塞など大病をいくつも患ったが、リハビリに励んで再び絵筆を手にした。ポルトガルの街角を舞台にした映画製作、自社ビルの壁面いっぱいに絵を描くことなど、夢を熱く語る。

 ギャラリーを運営する敷地屋亜紀さんは、二十三年前にHiroshiさんの絵に出合い、心を動かされた。「素晴らしい才能、世界観を多くの人に知ってほしい」と力を込める。期間中、Hiroshiさんが会場に滞在し、絵の制作過程を公開している。

 ブルーリズムはコンセプトサロン「月月(つきつき)」一階で毎月後半に開く。日本画やイラストなどHiroshiさんの作品は幅広く、九月以降も紹介していく。正午〜午後五時。