
「もう一度、娘に会いたい」“東大和ハーレム男死亡”一夫多妻の館に住んだ女性の父が記者に託した“伝言”「呪縛から解き放たれてほしい」

妻や多数の元妻とひとつ屋根の下で、“一夫多妻”生活を送るハーレム男。10代の女性二人に対してわいせつな行為をしたとして、準強制性交等罪などで起訴されていた無職・渋谷博仁被告(76)が、判決を目前にした1月19日午後に東京都東大和市内の自宅で死亡していたことが分かった――。


額に傷が生々しい渋谷容疑者(日テレNEWSより)
17歳の女性に「私と性交するしかない」
警視庁が渋谷と元妻である渋谷千秋氏を準強制性交等未遂容疑で逮捕したのは2023年2月7日のことだった。社会部記者が解説する。
「渋谷らは、2022年12月12日、当時17歳だった女性を占いと称して東京都東大和市の自宅に招き、『あなたは近々死ぬ。宇宙に連れ去られ、皮を剝がされて食べられる。私と性交するしかない』などと脅し、性的関係を要求していた。事件から約2年を迎える今年1月20日、東京地裁立川支部で判決が下される予定でした」
その判決前日、渋谷は自ら命を絶ったのだった。
「19日の午後10時過ぎ、自宅でぐったりしている渋谷を、同居人女性が発見し、すぐに119番した。その後病院に搬送されましたが、約1時間後には死亡が確認されました。捜査本部は自殺とみて調査中です」(同前)
妻、8人の元妻、3人の子供と“共同生活”
複数の女性と事実上の一夫多妻生活を送り、“ハーレム男”と呼ばれた渋谷。2022年の事件当時、渋谷は妻や8人の元妻に加え、3人の子供と計13人で共同生活をしていた。
「渋谷は妻として迎え入れる女性について、障壁となる親や交際相手とのコミュニケーションを絶つよう言葉巧みに排除する手口をとってきた。さらに、同居する女性たちと結婚と離婚を繰返すかたわら、190㎡に及ぶ自宅の土地の贈与と、渋谷姓を与えてきた」(同前)
「モテる呪文を唱えたら女性が寄ってきた」「一夫多妻は生物学的に見て自然」と豪語し、独自のコミュニティを築き上げた渋谷。ハーレム男の突然の死で、残った“妻”たちはどうなるのだろうか。
「もし帰ってきてくれたらこんなに嬉しいことはない」と切実な心境を語るのは、約25年前に渋谷らの「ハーレムの館」に入居したA子さんの実父だ。小誌記者が、今回、千葉県内の自宅を訪ねると取材に応じた。
「もう一度、娘に会いたい」“東大和ハーレム男死亡”一夫多妻の館に住んだ女性の父が記者に託した“伝言”「呪縛から解き放たれてほしい」
文春オンライン1/25(土)11:00
「真面目な子だったのに、渋谷の女と知り合ってから…」
「娘は純粋無垢な子でした。本当に真面目な子だったのですが、短大を卒業後、就職活動をしていた23歳の時に、渋谷の女と知り合い、家に出入りするようになったと聞いています。それ以降、娘とは長らく音信不通になりました。
唯一、娘から連絡があったのは3年ほど前のことです。突然電話がかかってきて、『家系図はどう作るの?』と聞いてきました。それまで何の連絡も寄越さなかったのに、いきなりそんな連絡をしてきたもんだから、私は『自分で調べなさい。お前は道を踏み外しているぞ』と突き放してしまった。それ以降、今までA子から連絡がきたことは一度もないです」
数十年ぶりに聞いた娘の声。それからほどなくして、渋谷の逮捕を報道で知ることになる。A子さんの父は語気を強めた。
「娘は20代の一番楽しい青春時代を無駄にしたのです。本当だったら、結婚して子供ができて、ごく普通の家庭を築いていたでしょう。彼女の人生の全てを渋谷に奪われた。そう思うと、本当にやり切れません」(同前)
父親が記者に託した“伝言”
85歳を迎え、今は終活の準備も進めているというA子さんの父は、涙を拭きながら、渋谷への怒りをあらわにする。一方で、「娘に会いたい」という気持ちもあふれていた。
「もう老い先短いですから、この戸建ても売りに出しているところです。でも、本音では彼女の生活の少しの足しになればという思いもあり、娘にこの家を譲りたいのです。渋谷が亡くなった今、その呪縛から解き放たれてほしい。そして、もう一度、娘に会いたい」
渋谷の死後から数日が経った今も、娘からの連絡はないという。取材に応じてくれた礼を伝えると、A子さんの父は小誌記者を呼び止めて、ある伝言を残した。
「取材をする中で、もし娘に会ったら『親に会いなさい』と伝えてください」
(「週刊文春」編集部/週刊文春 電子版オリジナル)